1月の誕生石について
1月の誕生石はガーネットです。
「1月 誕生石 ガーネット以外」と検索されている方も多いのですが、1月の誕生石はガーネットのみです。
しかしながら、ガーネットとは化学組成の近い等軸晶系のケイ酸塩鉱物の総称で、化学成分により区分すると約15種類(諸説では20種類)に分けられます。
そのため、ガーネットといえば赤色系の色石と考えられがちですが、レッド、パープル、バイオレット、ブルー、グリーン、イエロー、オレンジ、ピンク、ブラウン、ブラック、グレー、ホワイト、カラーレス(無色)など多彩で、色の濃淡や明度の差も幅広く、透明度も様々です。
産出量が多く、供給が安定的なレッドガーネットは、良質で大粒のものも安価で入手できることが魅力の宝石として知られる一方で、形成に特別な条件を必要とする緑色系を呈するグリーンガーネットのツァボライトやデマントイドは産出量が少なく稀少です。
アレキサンドライトと同様の変色効果を示すカラーチェンジガーネットで、マダガスカル南部のベキリー地区のみで産出される青色系を呈するガーネットのベキリーブルーガーネットはごく稀少で、幻の宝石とも呼ばれています。
このように、ガーネットは種類によって産出量や稀少価値が全く異なる宝石で、最も高値で流通するガーネットと、最も安価に流通しているガーネットとでは、カラット当たりの市場価値で50~100倍近くの価格差が生じていることも珍しくなく、稀少なガーネットともなると、エメラルドやルビーと遜色ない価格で取引されていることも珍しくありません。
ガーネットの意味とは?名前の語源について
ガーネットは和名では「柘榴石(ざくろいし)」と呼ばれていますが、英名「garnet」の名の語源も果物の「柘榴(ざくろ)」の名に由来しています。
ガーネットの原石は、ほぼ球体に近い状態で母岩に付いて成長していますが、結晶が集まった状態で産出されることが多く、その見た目は果実を割った柘榴と似ています。
柘榴(ざくろ)の英名の「ポムグラネイト(pomegranate)」は、中世ラテン語で「種の多い果実」意味の「pōmum grānātus 」※に由来しています。
※「果実」を意味する「pōmum」+「種が多い」や意味する「grānātus」
「grānātus」から次第に「granate」→「garnet」へと変化していきました。
「grānātus」は柘榴の学名「ピューニカ・グラネイタム(punica granatum)」の種小名の「グラネイタム(granatum)」の語源にもなっています。
ちなみに、柘榴のフランス語「グレネード(grenade)」には「手榴弾」という意味もあります。
「grānātus」の語源は「種」や「粒」を意味する「grānum」+接尾辞「-ātus」で、「粒が多い」という意味もあります。
ガーネットの石言葉・宝石言葉
石言葉・宝石言葉は真実、友愛、忠実、勝利。
石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
誕生月 | 宝石名 | 和名 | 石言葉 |
1月 | ガーネット | 柘榴石(ザクロイシ) | 真実・友愛・忠実・勝利 |
2月 | アメジスト | 紫水晶(ムラサキスイショウ) | 誠実・高貴・心の平和 |
クリソベリル・キャッツアイ | 猫目石(ネコメイシ) | 守護・慈愛 | |
3月 | アクアマリン | 藍玉(ランギョク) | 聡明・勇敢・沈着 |
コーラル | 珊瑚(サンゴ) | 幸福・長寿 | |
ブラッドストーン | 血玉(ケツギョク) | 勇気・勇敢 | |
アイオライト | 菫青石(キンセイセキ) | 自己同一性・誠実・貞操 | |
4月 | ダイヤモンド | 金剛石(コンゴウセキ) | 純潔・清純・無垢 |
ロッククリスタル | 水晶(スイショウ) | 純粋・完璧・冷静・神秘 | |
5月 | エメラルド | 翠玉(スイギョク) | 幸運・幸福・希望・安定 |
ジェイド | 翡翠(ヒスイ) | 長寿・福寿・安定・知恵 | |
6月 | パール | 真珠(シンジュ) | 健康・長寿・富・円満 |
ムーンストーン | 月長石(ゲッチョウセキ) | 幸運・希望・恋の予感 | |
アレキサンドライト | 金緑石(キンリョクセキ) | 高貴・情熱・秘めた想い | |
7月 | ルビー | 紅玉(コウギョク) | 情熱・勝利・仁愛(じんあい)・威厳(いげん) |
スフェーン | 楔石(クサビイシ) | 成功・幸運・永久・才能の開花 | |
8月 | ペリドット | 橄欖石(カンランセキ) | 幸福・平和・友愛・夫婦愛 |
サードオニキス | 紅縞瑪瑙(ベニシマメノウ) | 和合・友愛・夫婦愛・豊穣(ほうじょう) | |
スピネル | 尖晶石(センショウセキ) | 勝利・成功・情熱・挑戦・不屈 | |
9月 | サファイア | 青玉(セイギョク) | 真実・誠実・慈愛・徳望 |
クンツァイト | 黝輝石(ユウキセキ) | 可憐・純粋・慈愛・無償の愛 | |
10月 | トルマリン | 電気石(デンキセキ) | 友情・希望・寛大・潔白 |
オパール | 蛋白石(タンパクセキ) | 幸福・希望・忍耐 | |
11月 | トパーズ | 黄玉(オウギョク) | 希望・成功・友愛 |
シトリン | 黄水晶(キスイショウ) | 幸福・希望・富・成功・繁栄 | |
12月 | ターコイズ | トルコ石 | 成功・繁栄・健康・安全 |
ラピスラズリ | 瑠璃(ルリ) | 成功・幸運・健康・真実 | |
タンザナイト | 灰簾石(カイレンセキ) | 希望・神秘・高貴・知性・冷静 | |
ジルコン | 風信子鉱(ヒヤシンスコウ) | 成功・祈願・平和・平安 |
誕生石とは?
誕生石とは、1月~12月までの各月に因んだ宝石・天然石のことで、自分の誕生月の誕生石をお守りとして身に着けることで「幸運」や「ご加護」を願う、古くから世界で親しまれている習わしです。
誕生石は、誕生月の宝石・天然石があしらわれた、指輪・ペンダントネックレス・ピアスなどのジュエリーまたはアクセサリー、あるいはブローチやネクタイピンなどの装身具として携帯されることが多いです。
誕生石は自分自身で用意する方も多いですが、大切な人やお世話になっている方への誕生日プレゼントや、お祝い事・行事・記念などのギフトにも喜ばれます。
誕生石の歴史
誕生石をお守りとして身につける習慣の発祥は16世紀から18世紀にかけてポーランドではじまり、他国に移住したユダヤ人によって世界に広められたといわれています。
アメリカの伝統的な誕生石リストにはポーランドから伝わったものが用いられていましたが、その後、複数の宝石商の団体により個々に宝石・天然石が加えられたため、総括して改訂されたものが現在のアメリカの誕生石リストとなっています。
誕生石の風習は世界に広がりましたが、日本、アメリカ、イギリスなど、それぞれの国情に合わせて宝石・天然石の種類に若干の違いがあります。
誕生月 | アメリカの誕生石 (GIA) / 20石 | イギリスの誕生石 /21石 |
1月 | ガーネット | ガーネット |
2月 | アメジスト | アメジスト |
3月 | アクアマリン、ブラッドストーン | アクアマリン、ブラッドストーン |
4月 | ダイヤモンド | ダイヤモンド、ロッククリスタル |
5月 | エメラルド | エメラルド、クリソプレーズ |
6月 | パール(真珠)、ムーンストーン、アレキサンドライト | パール(真珠)、ムーンストーン |
7月 | ルビー | ルビー、カーネリアン |
8月 | ペリドット、スピネル | ペリドット、サードオニキス |
9月 | サファイア | サファイア、ラピスラズリ |
10月 | トルマリン、オパール | オパール |
11月 | トパーズ、シトリン | トパーズ、シトリン |
12月 | ターコイズ、タンザナイト、ジルコン | ターコイズ、タンザナイト |
日本では伝統的なアメリカの誕生石リストを基準に、日本国内で人気のあった宝石・天然石の「コーラル(珊瑚)」と「ヒスイ(翡翠)」が追加された日本独自の誕生石リストが考案され、1958年に全国宝石卸商協同組合によって制定されたものが一般に広まりました。
2021年12月20日には、63年ぶりに1958年に制定された日本の誕生石のリストに10石の【新しい誕生石】が追加されることになりました。
新しく追加された誕生石は【2月の誕生石】クリソベリル・キャッツアイ、【3月の誕生石】ブラッドストーン、アイオライト、【4月の誕生石】モルガナイト、【6月の誕生石】アレキサンドライト、【7月の誕生石】スフェーン、【8月の誕生石】スピネル、【9月の誕生石】クンツァイト、【12月の誕生石】タンザナイト、ジルコン、の10種類の宝石・天然石です。
同じ誕生月に誕生石が複数ある場合には、自分好みの宝石を自由に選ぶことができますので、誕生石の種類が増えたことで選択肢が広がっただけではなく、コンビネーションも楽しめるようになりました。
【最新版】日本の誕生石一覧 (2021年12月20日改訂)
従来からの誕生石/19石 | 新たに追加された誕生石/10石 | |
1月の誕生石 | ガーネット | |
2月の誕生石 | アメジスト | クリソベリル・キャッツアイ |
3月の誕生石 | アクアマリン、コーラル(珊瑚) | ブラッドストーン、アイオライト |
4月の誕生石 | ダイヤモンド | モルガナイト |
5月の誕生石 | エメラルド、ヒスイ(翡翠) | |
6月の誕生石 | パール(真珠)、ムーンストーン | アレキサンドライト |
7月の誕生石 | ルビー | スフェーン |
8月の誕生石 | ペリドット、サードオニキス | スピネル |
9月の誕生石 | サファイア | クンツァイト |
10月の誕生石 | トルマリン、オパール | |
11月の誕生石 | トパーズ、シトリン | |
12月の誕生石 | ターコイズ、ラピスラズリ | タンザナイト、ジルコン |
ガーネットの種類について
ガーネットは固溶体(2種以上の物質が均一に混合している固体)の鉱物で、鉱物学的には化学組成の近い等軸晶系のネソ珪酸塩鉱物の総称となるため、化学組成により区分すると約15種類(諸説では20種類)あると言われています。
ガーネットはアルミニウムを内包する赤色系ガーネットの「パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group)」と、カルシウムを内包する緑色系ガーネットの「ウグランダイト・グループ(Ugrandite Group)」の二系統に大別されます。
さらに厳密に区分すると、パイラルスパイト・グループに属するガーネットにはパイロープ(Pyrope)、アルマンディン(Almandine)、スペサルティン(Spessartine)、ロードライト(Rhodolite)、ウンバライト(Umbalite)などが、ウグランダイト・グループに属するガーネットにはウバロバイト(Uvarovite)、グロッシュラー(Grossular)、アンドラダイト(Andradite)、グランダイト(Grandite)などがあります、
ガーネットはこれらの端成分が結晶構造を保ちつつ、互いに自由な比率で混ざり合う固溶体鉱物で、結晶に取り込まれる元素が少しずつ異なることで化学組成の範囲が幅広い固溶体となるため、様々な色や化学特性を示すことから、明確に区別することが困難な場合もあります。
尚、パイラルスパイト・グループに属するガーネットとウグランダイト・グループに属するガーネットでは産状が全く異なっているため、互いに完全な固溶体は形成しません。
ガーネットのグループ一覧
パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group)
パイラルスパイト(Pyralspite)の名はパイロープ(Pyrope)、アルマンディン(Almandine)、スペサルティン(Spessartine)の名前を組み合わせたものです。アルミニウム・ガーネットとも呼ばれます。
アルマンディン(Almandine)、アルマンダイト(Almandite)
宝石名 | アルマンディン・ガーネット、アルマンダイト・ガーネット |
英名 | Almandine Garnet、Almandite Garnet |
和名 | 鉄礬柘榴石(てつばんざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | 鉄とアルミニウムの珪酸塩 |
化学式 | Fe3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 7-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.9-4.3 |
屈折率 | 1.75-1.83 |
分散度 | 0.027 |
光沢 | ガラス光沢-脂肪光沢-樹脂光沢 |
色 | 赤色、暗赤色、赤紫色、紫色、暗紫色 |
赤橙色、橙色、赤茶色、茶色、赤褐色、褐色、黒色 |
産出量が最も多いことから日本の市場に流通するガーネットのほとんどを占めているのがアルマンディン・ガーネットです。
アルマンディンの名は古くからこの宝石を研磨している、トルコの都市アラバンダ(Alabanda)に因んだものです。
良質で大粒のものも多く産出しているので、テリがあり透明度の高い大粒のルースを選んでみるのもおすすめです。
パイロープ(Pyrope)
宝石名 | パイロープ・ガーネット |
英名 | Pyrope Garnet |
和名 | 苦礬柘榴石(くばんざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | マグネシウムとアルミニウムの珪酸塩 |
化学式 | Mg3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 7-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.7-4.3 |
屈折率 | 1.74 |
分散度 | 0.024 |
光沢 | ガラス光沢-脂肪光沢 |
色 | 赤色、暗赤色、赤紫色、紫色、暗紫色 |
赤橙色、橙色、赤茶色、茶色、赤褐色、褐色、黒色 |
ギリシャ語で火を意味するプローポス(Pyropos)を語源とするパイロープは、赤色系を呈するガーネットです。
16~19世紀末までチェコのボヘミア地方が主要産地だったため、ボヘミアン・ガーネットとも呼ばれています。
純粋なものは無色透明の結晶ですが、純粋なパイロープでの産出は稀で、多くはパイロープとアルマンディンの固溶体として産出するため、パイロープの発色はアルマンディンに由来するものです。
パイロープとアルマンディンは連続固溶体を形成するため、明確に区別するには化学分析が必要になります。
スペサルティン(Spessartine)
宝石名 | スペサルティン・ガーネット、スペッサルティン・ガーネット |
英名 | Spessartine Garnet |
和名 | 満礬柘榴石(まんばんざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | マンガンとアルミニウムの珪酸塩 |
化学式 | Mn3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 7-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 4.1-4.2 |
屈折率 | 1.78-1.83 |
分散度 | 0.027 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 赤色、赤橙色、橙色、赤茶色、茶色、赤褐色、褐色、灰色 |
スペサルティン・ガーネットは日本国内での人気が高まってきているガーネットです。
スペサルティン(Spessartine)の名は、かつての主要な産出国だったドイツのババリア地方の町スぺッサルト(Spessart)に因んだものです。
純粋なものは淡褐色ですが、アルマンディンやパイロープと連続固溶体を形成するため、採掘した産地の地質によって黄色や明るいオレンジ色、茶色を帯びた深い赤色など、色域の幅が広いのが特徴です。
マンダリンガーネットと呼ばれる鮮やかなオレンジ色を呈するスペサルティンは別格の扱いを受ける人気のガーネットです。
ロードライト(Rhodolite)
宝石名 | ロードライト・ガーネット |
英名 | Rhodolite Garnet |
和名 | 薔薇柘榴石(ばらざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | パイラルスパイト・グループ(Pyralspite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | マグネシウムと鉄とアルミニウムの珪酸塩 |
化学式 | (Mg,Fe)3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 7-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.7-4.1 |
屈折率 | 1.74-1.78 |
分散度 | 0.026 |
光沢 | ガラス光沢-脂肪光沢 |
色 | 赤色、赤紫色、紫色、暗紫色、暗赤色、赤褐色、 |
ロードライトはアルマンディンやパイロープが混ざり合った固溶体のガーネットで、紫色を帯びたローズレッド色を呈します。
ロードライト(Rhodolite)の名は「バラの石」という意味で、「薔薇」を意味するギリシャ語で「ロード(rhod)」と、「鉱物」や「化石」を意味するギリシャ語の接尾辞「-ite」に由来します。
「-ite」は「石」の意味を持つギリシャ語「リトス(lithos)」が語源となっています。
ロードライトは1882年にアメリカのノースカロライナ州で発見された比較的新しい種類のガーネットで、見る角度や明るさなどによって色味が変化するのを楽しむことができます。
産出量が安定していることもあり、比較的安価に流通していることから人気が高まってきているガーネットです。
ウンバライト(Umbalite)
ウンバライトはパイロープとスペサルティンが混ざり合う固溶体で、シャンパン色、ピンク色、ブラウン色を呈するガーネットです。
ウンバライトが発見されたタンザニアとケニアの国境付近のウンバ川流域の名に因んでウンバライトと名付けられました。
1970年代初頭の頃からウンバライトはロードライトの鉱床で時折発見されるようになりましたが、商品としては価値がない石として扱われていたため、スワヒリ語で役立たずを意味するマラヤ(マライヤ)と呼ばれていました。
しかし、これがロードライトとは異なる希少なガーネットであることが分かり、マラヤガーネットの名で積極的に販売されるようになりました。
ウグランダイト・グループ(Ugrandite Group)
ウグランダイト(Ugrandite)の名はウバロバイト(Uvarovite)、グロッシュラー(Grossular)、アンドラダイト(Andradite)の名前を組み合わせたものです。カルシウムガーネットとも呼ばれています。
グロッシュラー(Grossular)
宝石名 | グロッシュラー・ガーネット |
英名 | Grossular Garnet |
和名 | 灰礬柘榴石(かいばんざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | ウグランダイト・グループ(Ugrandite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | カルシウムとアルミニウムの珪酸塩 |
化学式 | Ca3Al2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 6.5-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.4-3.8 |
屈折率 | 1.72-1.80 |
分散度 | 0.028 |
光沢 | ガラス光沢-脂肪光沢 |
色 | 淡黄色、黄色、黄緑色、淡緑色、緑色、深緑色 |
淡橙色、橙色、赤橙色、赤色、赤褐色 | |
赤茶色、茶色、茶褐色、褐色、黄褐色 | |
無色、乳白色、白色、灰色 |
グロシュラライトの名の由来は黄緑色の卵形の漿果をつけるスグリ亜属の植物の学名Grossulariaに因んだものです。
グロシュラライトに属するガーネットはグリーンガーネットやツァボライト・ガーネット(Tsavolite Garnet)と呼ばれる緑色系を呈するガーネットのほか、橙色・赤色・赤褐色の色相を呈することから「シナモンストーン」とも呼ばれるヘソナイト・ガーネット(Hessonite Garnet)や、無色のものや黄色ものまで多彩な色を呈します。
アンドラダイト(Andradite)
宝石名 | アンドラダイト・ガーネット |
英名 | Andradite Garnet |
和名 | 灰鉄柘榴石(かいてつざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | ウグランダイト・グループ(Ugrandite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | カルシウムと鉄の珪酸塩 |
化学式 | Ca3Fe2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 6.5-7 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.7-4.1 |
屈折率 | 1.85-1.95 |
分散度 | 0.057 |
光沢 | 金剛光沢-ガラス光沢-脂肪光沢-樹脂光沢 |
色 | 黄緑色、淡緑色、緑色、深緑色 |
淡黄色、黄色、黄金色、黄橙色、橙色、淡橙色、 | |
茶色、茶褐色、黄褐色、褐色、灰褐色、灰色、黒色 |
アンドラダイトに属するガーネットにはダイヤモンドよりも分散光が強く美しい緑色を呈するデマントイド・ガーネット(Demantoid Garnet)、黄色の色合いがトパーズに似ていることからその名が名付けられたトパゾライト・ガーネット(Topazolite Garnet)、黒色を呈するメラナイト・ガーネット(Melanite Garnet)などがあり、中でもデマントイドは産出量が非常に少なく、希少価値が非常に高いことから数あるガーネットの中で最も高値で取引されています。
グランダイト(Grandite)
グランダイトはグロシュラライトとアンドラダイトが混ざり合った固溶体で、淡緑色~緑色、淡黄色~橙色~褐色と多彩な色合いを呈するガーネットです。グランダイトは1994年にアフリカのマリ共和国のサハラ砂漠で発見された高い透明度と美しい色合いが注目されている新種のガーネットで、一般にはマリ・ガーネット(Mali Garnet)の呼び名が定着しています。
成分のほとんどがグロシュラライトの成分だけのものもありますが、アンドラダイトの成分比の高い橙色~褐色のものはその高い屈折率による眩い煌きを放つため、シャンパンダイヤモンドやコニャックダイヤモンドの代替品として需要があります。
黄緑色のものが最も産出量が多い中、稀に産出するエメラルドに優るとも劣らない緑色を呈するものは稀少価値の高いデマントイドや人気の高いツァボライトの代替品として珍重されています。
ウバロバイト(Uvarovite)
宝石名 | ウバロバイト・ガーネット、ウヴァロヴァイト・ガーネット |
英名 | Uvarovite Garnet |
和名 | 灰クロム柘榴石(かいくろむざくろいし) |
鉱物名 | ガーネット(Garnet)、柘榴石(ざくろいし) |
グループ | ウグランダイト・グループ(Ugrandite Group) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | カルシウムとクロムの珪酸塩 |
化学式 | Ca3Cr2(SiO4)3 |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 6.5-7.5 |
靭性 | 普通-良好 |
劈開性 | なし |
比重 | 3.4-3.9 |
屈折率 | 1.74-1.87 |
分散度 | 0.014-0.021 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | 緑色、深緑色 |
ウバロバイトはクロムに起因する鮮緑色を呈するガーネットです。
ウバロバイトの名は1832年に発見された当時のロシアの文部大臣で熱心な鉱物コレクターであったウバロフ(Uvarov)氏の名に因んで命名されました。
ウバロバイトはその類まれな色合いと輝きから美しいルースになりそうですが、大きな結晶が採掘されることがないためドゥルージー結晶として主に観賞用に流通しています。
ガーネット関連商品のご案内
【ガーネットの天然石ルース】【ガーネットの天然石アクセサリー】は、弊社オンラインショップのアクセサリーパーツ卸売り通販店【ネイチャーガイダンス・グリーン店】と【アートソース】にて販売中です。
詳細につきましては、以下のリンクより弊社オンラインショップの商品ページをご確認いただけますと幸いです。
ネイチャーガイダンス【ガーネット・天然石ルース】販売ページへ