【カラー・オブ・ザ・イヤー】とは、世界共通のカラー・スタンダード・システムの地位を確立しているパントン社(Pantone)が毎年12月に発表している次年度のテーマカラーのことです。
2020年のカラー・オブ・ザ・イヤーに選ばれた色は、精神に安定感をもたらす安らぎの色【クラシック・ブルー(Classic Blue)】でした。
【クラシック・ブルー】は、時代を超越した普遍的なネイビーブルー系の色合いです。
信頼の色として人々の心に刻まれている【クラシック・ブルー】の落ち着いたブルートーンは、世界的に見ても老若男女問わずに人気の高い色の系統で、好感度が高く、誠実で知的な印象を与えてくれます。
【クラシック・ブルー】は、宇宙にまで広がる無限の夜空や、生命の源の深い海を思い起こさせてくれるので、落ち着いたリラックスできる空間を連想させて、興奮した心を穏やかに沈めて、安らぎや安心感をもたらしてくれたり、集中力を高めて考慮深くさせてくれる色といわれています。
今回は、来年のトレンドをも左右する【カラー・オブ・ザ・イヤー】に選ばれた【クラシック・ブルー】の落ち着いたブルートーンの色合いを呈する天然石の宝石をご紹介したいと思います。
■世界中の人々から愛される、青い宝石の代表格【ブルーサファイア】
【ブルーサファイア(Blue Sapphire)】は9月の誕生石。
和名【青玉(蒼玉)】の名のとおり、淡青・青・紺・群青・瑠璃・濃青などのブルートーンを呈するコランダムで、「天空の色」や「宇宙の青」を連想させるその色合いから古代より神聖な宝石と伝えられ、世界中の人々から永く愛されてきた歴史のある宝石です。
光を当てたときに宝石内部に含有する小さな針状の内包物(インクルージョン)の反射によって、複数の線状の白い光の帯が出現する【スター効果】という光学現象が現れるものは【スターサファイア】と呼ばれ珍重されています。
ブルーサファイアの宝石言葉は「誠実」「慈愛」「徳望」。
古代より【聖人の石】や【哲学者の石】と伝えられてきたブルーサファイアは、聖職者や賢者にふさわしい石と考えられていました。
教皇や司教の手にはめられたブルーサファイアの指輪には、触れた人々に誠実や慈悲を与え、病を癒し、悩みや苦しみから救うことを意味しているそうです。
ブルーサファイアを身に着けると、冷静な洞察力、真理を見抜く力、真実を貫く勇気、的確な判断を与えてくれると伝えられています。
■薄暮の夜空のような神秘的なブルーの宝石【タンザナイト】
【タンザナイト(Tanzanite)】は、12月の誕生石。
「タンザニアの夜空の色」とも称される、淡青・青・濃青・青紫・紫・淡紫などのブルー~パープルのトーンをを呈する【ゾイサイト(灰簾石-かいれんせき)】の一種で【ブルーゾイサイト】の別名を持ちますが、稀にピンクやグリーンを呈するものもあります。
洗練された雰囲気から、幅広い年齢層から好まれる宝石です。
タンザナイトは見る角度や光源や明るさ等の条件によって、青色から青紫色に色合いが変化する【多色性(たしょくせい)】という特性による、神秘的で美しい色合いから人気の高い宝石です。
専門家の多くがタンザナイトの鉱床の寿命は残りわずか十数年程と意見していることもあり、刻一刻と高まる希少性が更なる人気に拍車をかけています。
タンザナイトの宝石言葉は、「神秘」「高貴」「冷静」。
タンザナイトは【決意の石】として、正しく冷静な判断力を与え、知性や洞察力を高めてくれるといわれています。
タンザナイトは身に着けると、成功へと導いてくれるといわれることから、次第に新しい人生や、新しい門出を祝うのにふさわしい宝石として扱われるようになっています。
■光にかざすと変化する、深いスミレ色の宝石【アイオライト】
【アイオライト(Iolite)】は9月の誕生石。
和名【菫青石(きんせいせき)】の名前のとおり、「菫(スミレ)」を思わせる青みを帯びた菫色のブルートーンを呈する宝石で、サファイアに似ていることから、【ウォーターサファイア】とも呼ばれています。
アイオライトは見る角度や光源や明るさ等の条件によって色合いが変化する【多色性(たしょくせい)】の特性が強く、「2つの色を持つ石」という意味の「ダイクロアイト(dichroite)」の別名を持ちます。
見る角度によって色が変化することから、物事をあらゆる角度からとらえる大切さを教えてくれる石として知られています。
人生において迷いが生じたときには正しい方向を指し示す羅針盤となって、夢や目標に到達するための道しるべとなり、進むべき方向に導いてくれるといいます。
また、落ち着いたブルートーンの色合いから、悲しみや怒りなどネガティブな感情や、不安や心配な気持ちを鎮めて、心に安定感をもたらしてくれるといわれています。
穏やかな心で自分自身を客観的な視点で見つめ、真の心の声を聴くことで、自身のアイデンティティを取り戻す助けとなってくれるそうです。
■美しいブルーのグラデーションが魅力の宝石【カイヤナイト】
【カイヤナイト(Kyanite)】は和名【藍晶石(らんしょうせき)】の名のとおり、藍色のブルートーンを呈する宝石です。
淡青色・青色・濃青色など様々なブルートーンが一方向にストライプ状に重なった、美しいブルーのグラデーションがカイヤナイトの最大の魅力です。
色鮮やかで透明度の高いカイヤナイトにおいては、ブルーサファイアにも引けを取らない美しさがあります。
稀に産出する、色が均一でカシミールサファイアを偲ばせる濃青色のカイヤナイトは高値で取引されます。
ブルーのほかにグリーン、イエロー、オレンジなど様々な色を呈するカイヤナイトがありますが、主に流通しているのはブルーとグリーンで、【ブルーカイヤナイト】【グリーンカイヤナイト】の名でも知られています。
【二硬石(ニコウセキ)】という性質があり、カイヤナイトのモース硬度は4~7.5と、結晶の方向によって硬度に極端な差があるため【ディスシーン】という別名を持ちます。
カイヤナイトには【劈開性(へきかいせい)】という、硬度に関係なく、ある一定の方向に割れやすい性質があるため、取り扱いには注意が必要です。
原石の真っ直ぐ伸びる直線的でシャープなフォルムから、カイヤナイトは「直観」「インスピレーション」を象徴する宝石とされています。
カイヤナイトを身に着けると、周囲からの評価や他人の意見に左右されない、真っ直ぐで強い意志を持てるようになるといいます。
潜在能力を引き出し、創造力などのインスピレーションを刺激してくれるので、創造的な活動に取り組む時に役立つといわれています。
明晰な思考力や判断力を高めてくれることから、研究・開発など探究心を持って取り組む必要のあるお仕事をされている方におすすめの宝石です。
また、心のバランスを整えたい時や、集中力が欲しい時に、心を平穏に静め、自分自身をコントロールするための助けとなってくれるそうです。
■満点の星空を思わせる美しい宝石【ラピスラズリ】
【ラピスラズリ(Lapis Lazuli)】は、9月と12月の誕生石。
和名【瑠璃(るり)】の名のとおり、瑠璃色のブルートーンを呈する宝石です。
不透明な青色・瑠璃色・群青色・濃青色のブルートーンを呈する主成分の中に、【カルサイト】による白い筋や【パイライト】による黄金模様などの入り混じった微量鉱物により、まるで星空や宇宙を眺めているような神秘的な文様が表れているものもあります。
ラピスラズリは人類が初めて鉱物として認知・利用した最古の鉱物とされていて、紀元前より宝石として装飾品・工芸品にとどまらず、宗教的な儀式を行うための道具としてや、天然の青色顔料(ウルトラマリンの原料)として画材や化粧品の材料として珍重されてきた歴史があります。
日本でも仏教においては、極楽浄土を飾るとされる「七宝」のひとつとして取り扱われています。
古代エジプトの王、ツタンカーメン王の黄金マスクにもラピスラズリが使われていたことからも、特別な存在であったことが伺えます。
ラピスラズリの宝石言葉は「真実」「幸運」「克服」「浄化」「知性」。
ラピスラズリの美しい青色には、魔除けのパワーがあるとされ、古代エジプトや古代バビロニアでは、ラピスラズリを粉砕して作った粉を顔料として用いて壁画を描き、護符にしていたと伝えられています。
【最強の聖石】とされるラピスラズリは【パワーストーン】として世界で最初にパワーを認識された宝石で、古来よりラピスラズリを身に着けると、不運から身を守り、幸運が訪れると信じられて、聖なる石として世界中の人々に愛されてきました。
様々なパワーを持つとされるラピスラズリですが、その中には「ラピスの試練」とも呼ばれているパワーがあり、身に着けている人に試練を引き寄せますが、その試練を乗り越える力を与えてくれるといわれていて、「ラピスの試練」が身に着けている人の精神を磨き、魂のレベルを高めつサポートをしてくれるといわれています。