宝石名 | スフェーン |
英名 | Sphene |
和名 | 楔石(くさびいし) |
鉱物名 | チタナイト(titanite)/チタン石(ちたんせき) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | 酸化チタンと酸化カルシウムを含む珪酸塩鉱物 |
化学式 | CaTiSiO5 |
結晶系 | 単斜晶系 |
モース硬度 | 5-5.5 |
靭性 | 低 |
劈開性 | 明瞭 |
比重 | 3.5-3.6 |
屈折率 | 1.84-2.11 |
分散度 | 0.051 |
光沢 | ダイヤモンド光沢、樹脂光沢 |
色 | イエロー、イエローグリーン、オレンジ、ブラウン |
誕生石 | 7月の誕生石 |
石言葉・宝石言葉 | 成功-幸運-永久-才能の開花 |
■7月の誕生石、スフェーンとは?
スフェーンは7月の誕生石です。
化学組成に酸化チタンと酸化カルシウムを含むネソ珪酸塩鉱物(nesosilicates)の一種で、化学式は CaTiSiO5、モース硬度5-5.5の準貴石・宝石です。
宝石として扱われる場合には「スフェーン(sphene)」「楔石(くさびいし)」の名が用いられ、鉱物として扱われる場合には「チタナイト(titanite)」「チタン石(ちたんせき)」の名が用いられるが一般的となっています。
スフェーンは光の分散度が 0.051 とダイアモンドの 0.044 を凌ぐほど高く、屈折率(入射した光を反射する角度を表す数値)も 1.84-2.11 と高いことから、「金剛光沢(こんごうこうたく)」と呼ばれるダイヤモンドにも見られる特徴的な輝き方をする物理的性質を持つ宝石で、ブリリアンス(入射した光が反射して見える白色光線の輝き)やファイア(入射した白色光線が屈折反射することにより分光された虹色の輝き)を伴って煌めく、大変美しい宝石です。
スフェーンは見る角度や光源や明るさ等の条件によって異なった色に見える「多色性(たしょくせい)」の特性も強く、ホログラムのように煌めく美しい虹彩が何とも神秘的で、眺めていて飽きることがありません。
スフェーンは複屈折性を示すため、バック・ファセットが二重に見えるダブリング現象が確認でき、方向によっては微かにぼんやりと見えます。
スフェーンはモース硬度が 5-5.5 と低くいことから傷つきやすく、弱い劈開性が認められるため靭性も低く脆いため、その取り扱いには注意が必要です。
■スフェーンのカラーバリエーションについて
スフェーンは微量に含有する鉄により、淡黄緑色、緑色、濃緑色、淡黄色、淡黄色、黄色、黄金色、橙色、褐色などの色を呈する宝石です。
「クロムスフェーン(Chrome Sphene)」と呼ばれる、微量に含有するクロムによる発色でエメラルドのような緑色~濃緑色を呈するものは大変希少です。
バナジウムを微量に含有することに起因する、光吸収特性によって変色効果(カラーチェンジ)を示すスフェーンもあるようです。
■スフェーンの名前の由来
宝石名「スフェーン(Sphene)」の名前は、「楔(くさび)」を意味するギリシア語の「スフェノス(sphenos)」に由来するもので、スフェーンの結晶が楔のような形状をしていることに因んでいます。
和名「楔石(くさびいし)」の名の由来も同様です。
「チタナイト(titanite)」「チタン石」の鉱物名は、チタン(titanium)を含む化学組成に因んだものです。
しかしながら、チタナイトのチタンの含有率はそれほど高くはないことから、塗料や顔料に使用される二酸化チタンの原料となるチタン鉱石としては利用されてはいません。
チタン鉱石の9割強を担うのが「イルメナイト(ilmenite)」=「チタン鉄鉱」で、次いで「ルチル(rutile)=「金紅石(きんこうせき)」が二酸化チタンの主要な工業原料となっています。
■スフェーンの希少性について
スフェーンは知名度の低い宝石ではありますが、その美しさから宝石・鉱物いずれもコレクターからの人気が高く需要がありますが、産出量が少なく、比較的稀少であることから、高品質のものは高値で取引されています。
世界各地で産出する結晶はサイズの小さなものが大半となるため、大きく美しい結晶にはカットは施されず、結晶のままで博物館やコレクターの秘蔵品となることも多いことから、一般に流通する宝飾用のルースは3カラット以下のものが殆どです。
宝石質のスフェーンは稀少が故に高価な宝石になりますが、濃緑色のスフェーンはとりわけ珍しく、非常に高価になります。
■スフェーンの産地について
宝石質のスフェーンの主な産地は、マダガスカル、ブラジル、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ などです。
1990年代末頃にマダガスカルやブラジルで有望な鉱脈が発見されたことにより、高品質のスフェーンが産出されるようになり、宝飾用のルースが一般に流通するようになりました。
パキスタンとアフガニスタンは昔から宝石質のスフェーンを産していますが、アフガニスタン産であっても宝石の大半はパキスタン経由で世界市場に流通することから、これらの国境地帯のスフェーンの正確な産地を特定することは困難といえます。
スリランカ産のスフェーンの実際の産地はマダガスカルであり、カットがスリランカで施されているという例も大半のようです。
■7月の誕生石に追加されたスフェーン
2021年12月20日に日本の誕生石が改訂されることになり、従来より7月の誕生石の「ルビー(紅玉/こうぎょく)」に加えて「スフェーン(楔石/くさびいし)」が新しく7月の誕生石に加えられることになりました。
日本の誕生石は1958年に全国宝石卸商協同組合によって制定されたもので、日本の誕生石が改訂されるのは実に63年振りのことになります。
■スフェーンの石言葉・宝石言葉
スフェーンの石言葉・宝石言葉は、成功-幸運-永久-才能の開花。
石言葉・宝石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉・宝石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
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