宝石名 | ダイヤモンド、ダイアモンド |
英名 | Diamond |
和名 | 金剛石(こんごうせき) |
鉱物名 | ダイヤモンド、金剛石(こんごうせき) |
分類 | 非金属元素鉱物 |
化学組成 | 炭素(カーボン) |
化学式 | C |
結晶系 | 等軸晶系 |
モース硬度 | 10 |
靭性 | 7.5 |
劈開性 | 4方向に劈開 |
比重 | 3.51-3.52 |
屈折率 | 2.41-2.42 |
分散度 | 0.044 |
光沢 | 金剛光沢 |
カラースケール | D-E-F / カラーレス |
G-H / ベリー・ニア・カラーレス | |
I-J / ニア・カラーレス | |
K-M/ フェイント | |
N-R/ ベリーライト | |
S-Z/ ライト | |
ファンシーカラー | ピンク、ブルー |
レッド、グリーン | |
パープル、オレンジ | |
イエロー、ブラウン | |
その他 カラー | ホワイト、ブラック |
グレー、ソルト&ペッパー | |
誕生石 | 4月 |
石言葉・宝石言葉 | 純潔-無垢-永遠の絆 |
結婚記念日の宝石 | ダイヤモンド婚式 (結婚60周年) |
4月の誕生石、ダイヤモンドとは?
ダイヤモンドは4月の誕生石です。
ダイヤモンドはエメラルド、ルビー、サファイアとともに「世界四大宝石」と呼ばれる「貴石(きせき)」※の宝石です。
ダイヤモンドは鉱物学的には、化学組成が炭素原子のみで組成される非金属元素鉱物で、化学式はCで表されます。
ダイヤモンドの屈折率は2.41~2.42、光の分散度は0.044と、いずれの数値も数ある宝石の中でも非常に高く、ブリリアンス※やファイア※を伴って煌めく、ダイヤモンド光沢(金剛光沢)※と呼ばれる、特徴的な輝き方をする特性を持つ宝石です。
ダイヤモンドは硬度、熱伝導性、絶縁性、耐薬性、耐蝕性、親油性などが高いという物理特性があり、化学的な安定性も非常に優れていることから、宝飾用途のみならず産業用途においての需要も高い鉱物です。
※ブリリアンスとは、宝石の表面や内部に入射した光が反射して見える白色光線の輝きのこと。
※ファイアとは、宝石の内部に入射した白色光線が屈折反射することにより分光された虹色の輝きのこと。
※ダイヤモンド光沢とは、屈折率(入射した光を反射する角度を表す数値)が1.9以上を有する宝石に認められる物理的性質で、ダイヤモンドにみられる光り輝き方の特徴のため、ダイヤモンドの和名の「金剛石」の名に因んで「金剛光沢(こんごうこうたく)」とも呼ばれます。
※貴石とは特に高値で取引される宝飾的な価値の高い宝石のことで、「プレシャス・ストーン(Precious Stone)」とも呼ばれるのに対して、貴石以外の宝石は「半貴石(はんきせき)」や「セミ・プレシャス・ストーン(Semi Precious Stone)」と呼ばれています。
ダイヤモンドの物理特性について
ダイヤモンドの「モース硬度」※は10と、自然界に存在するあらゆる物質の中で最も硬く、傷や摩耗に強いことで知られ、硬度という側面で考えたとき、右に並ぶ物質はないため、ダイヤモンドは「地球上で最も硬い鉱物」と評される宝石です。
そのため、ダイヤモンドは絶対に損傷を受けない物質と考えている方も多いのですが、通常の着用中でも衝撃が加わった場合に欠けや割れが発生する可能性はあります。
ダイヤモンドには「劈開性」※があることから「靭性(じんせい)」※は高くはなく、強い力や衝撃が加わった場合に損傷する可能背がありますので、スポーツなど運動や、体を動かす作業など、宝石をぶつけてしまう可能性がないときにだけ宝飾品を着用する等、大切に取り扱う必要があります。
※モース硬度とは、鉱物に対する硬さの尺度のことで、表面の傷つきやすさを表しており、日常の摩耗に対する耐久性に関係します。(モース硬さやモース硬さスケールともいいます。)
※劈開(クリベージ)とは、木目に沿って裂ける木材に非常に似たもので、結晶の原子配列パターンの特定の方向=劈開面に平行な割れのことで、劈開面に沿って力を加えると層状に剥離するように簡単に割れてしまう性質のことを言います。
※靭性とは、物質に対して力が加わった際に吸収できるエネルギー量の尺度のことで、衝撃などの大きな力が加わった際の物質の破壊に対する感受性や、欠けや割れの抵抗力を意味する指標です。
ダイヤモンドの意味とは?名前の由来について
「ダイヤモンド(diamond)」の名前は、「不屈の」という意味の古代ギリシャ語(古希)の「ἀδάμας」=「アダマス、アダマース(adámas)」が語源と言われています。
※「ἀδάμας」は、「征服する」という意味の古代ギリシャ語(古希)の「δαμαω(damázō)」に否定の接頭辞「a-」が付いた「α- + δαμαω」から。
古代ギリシャ語「アダマス(adámas)」→ラテン語「アダマス(adamas)」→「アダマント(adamant)」→古フランス語「ディアモン(diamant)」→中英語「ディアマン(dyamaunt)」→現代英語「ダイアモンド(diamond)」。
ダイヤモンドが地球上の自然界に存在する物質の中で最も硬い鉱物のため、今のように技術が発達していなかった古代では研磨することができなかったことから、長い間「征服できない」たぐいまれな硬さの物質として考えられていたからです。
ダイヤモンドの石言葉・宝石言葉
ダイヤモンドの石言葉・宝石言葉は、純潔(じゅんけつ)-無垢(むく)-永遠の絆。
ダイヤモンドは”不屈”の象徴であったことから、敵から守ってくれる戦のお守りとして用いられるようになり、恐怖心を取り除き不屈の闘志を支えて勇気を与える、と考えられて戦士達が鎧などにダイヤモンドを埋め込むなどして身に着けていたと言われています。
中世ヨーロッパ時代頃になり、ダイヤモンドを研磨する技術が進歩しはじめると、その価値が高く認められるようになり、研磨されたダイヤモンドのその美しい輝きは、たぐいまれな硬さに守られ、変化することがないことから、ダイヤモンドは”永遠”の象徴となります。
15世紀の中頃には、神聖ローマ帝国のローマ皇帝マクシミリアン1世が、婚約者のマリー・ド・ブルゴーニュ女公(ブルゴーニュ公国最後の君主)にダイヤモンドの指輪を贈り、マリーもマクシミリアンに指輪を贈ったとされており、このやり取りが”婚約指輪”=”エンゲージリング”の起源となったと言われており、こうしてダイヤモンドは”変わらぬ愛”や”永遠の絆”を象徴する宝石になりました。
婚約指輪を象徴する宝石となったダイヤモンドの透明感や美しい輝きは、汚れを知らない花嫁を表現するにふさわしく、”純潔”-“無垢”-“永遠の絆”の石言葉・宝石言葉を持つようになりました。
石言葉・宝石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
合成ダイヤモンド(ラボグロウン・ダイヤモンド)について
2019年1月、東京ビッグサイトで開催された「国際宝飾展」に【ラボグロウン・ダイヤモンド(Lab Grown Diamonds)】が続々と並び、宝飾業界の新しいトレンドとして注目を集めました。
【ラボグロウン・ダイヤモンド】とは、その名のとおり、「ラボ=研究機関」から誕生した【合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンド)】のことです。
【クリエイテッド・ダイヤモンド(Created Diamonds)】とも呼ばれています。
商業化されてからは「研究機関」ではなく「工場」で作られているので、「工場育ち」の宝石です。
合成ダイヤモンドの合成方法はいくつかあり、代表的なものに炭素をダイヤモンドが生まれた地球深部のような超高圧高温を再現する装置にかけ結晶化させる【HPHT法(高温高圧合成法)】で作られた【HPHTダイヤモンド】と、炭素をプラズマ状態に変化させ3Dプリンターのように真空チャンバー内で結晶の炭素原子の薄膜を堆積させる【CVD成長法(化学気相蒸着法)】によって作られた【CVDダイヤモンド】などがあります。
いずれの方法で合成されたダイヤモンドも技術の精度が高く、従来型のダイヤモンド判別器では天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの区別ができませんでしたが、合成ダイヤモンドが市場に流通するようになった現在では、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドを判別するための専用の検査機器も登場しています。
合成ダイヤモンドは天然ダイヤモンドと化学組成が同じため、見た目も輝きも天然ダイヤモンドと全く同じでありながら、合成ダイヤモンドの価格は天然ダイヤモンドに比べ低価格で、30〜40パーセントほど安価です。
天然ダイヤモンドができるまで何百万~何十億年かかるところ、合成ダイヤモンドはたった数週間~数カ月でできてしまうという利点があり、今後、合成の技術が進歩するにつれて、合成ダイヤモンドの価格は下がり、天然ダイヤモンドは競争力を失い続けることになるのでは、と懸念されています。
2006年に公開されたレオナルド・ディカプリオ主演のアメリカ映画【ブラッド・ダイヤモンド】を通じて、内戦が続く西アフリカのシエラレオネ共和国などの紛争地域で産出されるダイヤモンドをはじめとした宝石類の一部が、内戦当事国の反政府組織の資金源になっていて、武器を調達するための外貨獲得手段になっているという、負の側面を世界中の人々が知ることになりました。
一部のダイヤモンドなどの宝石産出国においては、反政府組織が宝石鉱山を不当に占領・制圧して宝石を採掘しており、採掘に携わる労働者を搾取していて、低賃金労働による貧困、児童労働、債務労働、強制労働などの様々な人権侵害が問題が生じています。
こうした内戦国から産出するダイヤモンドを【紛争ダイヤモンド】と定義し、内戦当事国に外貨が流れ込まないようにするために、関係業界はそれらを取引の対象外にするなど、国際社会はこの問題に取り組むべきとされ、【キンバリー・プロセス認証制度(KPCS)】というダイヤモンドの原石に原産地証明書の添付を義務付ける制度が国連で採択されるなど、国際的な取り組みにより市場から紛争ダイヤモンドを排除する動きが活発化しています。
現在、世界に流通する天然ダイヤモンドの99%以上が、産地や販売ルートの明確な【コンフリクト・フリー(コンフリクト=紛争・フリー=無縁)】とされていますが、完全に紛争ダイヤモンドを排除するまでには至れず、合法的に産出されたものであるかどうかを確実に証明することが難しいという問題があります。
また、ダイヤモンド採掘が環境に与える悪影響についても問題視されており、ダイヤモンド採掘では1カラットを採掘するために250トンの土が掘り返されるといい、採掘自体が自然環境の破壊に大きな影響を及ぼしているとの声もあります。
天然ダイヤモンドを巡るネガティブな話題が広まっていたこともあり、合成ダイヤモンドが「紛争を起こさない」「人権侵害に加担しない」「自然環境を破壊しない」等の側面から【クリーンなダイヤモンド】と評価されるようになり、製品の倫理性に敏感になっているエシカル志向の海外セレブやミレニアル世代から支持される動きが急速に広まり、【エシカルな素材】【サスティナブルな素材】として、その存在価値を一気に高めることになりました。
そんな中、2018年5月に老舗宝飾ブランドの【デビアス(DE BEERS)】が合成ダイヤモンドに特化した新ブランド【Lightbox】を発表しました。
ミレニアル世代の若い顧客をターゲットとしていて、価格は1カラットあたり800ドルと明瞭です。
天然ダイヤモンドの場合はサイズが大きくなるににつれ希少性が高くなるため、カラットあたりの単価は大きく上昇しますが、合成ダイヤモンドの場合は希少性は変化しないため、カラットあたりの単価は同じに設定しているとのことで、サイズの大きなものほど天然ダイヤモンドと比較して割安感があります。
合成ダイヤモンドの市場が拡大するにつれ、「ダイヤモンドが希少で高価なもの」とする従来の価値観が変化していくことになるのか、今後の消費者の動向を注視していく必要があります。
エシカルジュエリーと合成ダイヤモンド
【エシカル(ethical)】や【サステイナブル(sustainable)】といったキーワードは、近年よく耳にするようになった言葉です。
【エシカル(ethical)】とは、「倫理」「道徳律」を意味する名詞「ethic」に、名詞の末尾に付いて形容詞を造る接尾辞の「-al」が付いた形容詞で、「倫理的」「道徳的」などの意味があります。
【サスティナブル(sustainable)】とは、「持続する」という意味の「sustain」と、「~できる」とい意味の接尾辞「able」からなる形容詞で、【維持できる】【継続できる】などの意味があります。
【サスティナビリティ(sustainability)】は、サスティナブル「sustainable」に「-le」で終わる形容詞の末尾に付いて名詞を造る接尾辞の「-ility」が付いた抽象名詞で、「持続可能性」などの意味があります。
「エシカル」「サスティナブル」「サスティナビリティ」の言葉は、特に「自然環境」「地球の資源」の維持や保全に配慮した事業や開発、未来の「人間の文明」「経済システム」を損なわないことを前提とした社会発展などを表現する際に使われるようになった環境用語で、従来の環境問題への取り組みと比較して斬新なことから、様々な分野に広がっています。
海外と比較して、日本では【エシカル】や【サスティナブル】の言葉の認知度はまだ低いといえますが、世界では消耗品のカップやビニール袋の代わりにマイタンブラーやエコバッグを持ち歩くといった日常の小さなアクションから、大きなムーブメントへと変化し、消費動向にも大きな影響を与えています。
買い物という消費行動を通じて、「環境問題」や「フェアトレード(公正貿易)」などの世界が抱えている様々な問題の解決の一端を担う、という社会貢献志向の消費行動を【倫理的消費主義】【エシカル消費】【ソーシャル消費】といい、製品を購入することで環境問題や社会問題の解決に貢献できる商品を購入し、環境問題や社会
問題の悪化に加担してしまう恐れのある商品は購入しない等、製品の倫理性に敏感になっているエシカル志向の海外セレブやミレニアル世代の消費動向は、サスティナビリティを重要視するエシカル志向の消費活動へと確実に変化しつつあります。
そんな中、CVDやHPHTの【合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンド)】が「紛争を起こさない」「人権侵害に加担しない」「自然環境を破壊しない」等の側面から【クリーンなダイヤモンド】として支持される動きが急速に広まり、その存在価値を一気に高めることになりました。
合成ダイヤモンドに注目が集まったことにより、人工的に合成された【合成宝石(人工宝石)】が【エシカルな素材】【サスティナブルな素材】として再評価されるようになり、【合成モアサナイト】や【合成エメラルド】【合成コランダム(ルビー・サファイア)】などの合成宝石の人気も高まってきています。
【エシカルジュエリー】や【サスティナブルジュエリー】という、ジュエリー業界の新しいジャンルも誕生しています。
【エシカルジュエリー】【サスティナブルジュエリー】とは、環境問題や社会問題などの解決に貢献できる素材を使用したジュエリー、あるいは環境問題や社会問題などの悪化に加担してしまう恐れのある素材を使用していないジュエリーのことです。
商品そのものの価値を提供するだけでは消費者に商品が選ばれることが難しくなってきている今日、【エシカル志向】や【サスティナブル消費】といった多様化する消費者動向の変化に応じた商品開発が必要となってきています。
全世界におけるダイアモンドジュエリーの売上の3分の1近くを占めているといわれる婚約指輪に、今後は天然ダイヤモンドに代替して合成ダイヤモンドが選ばれるようになってくるのか、今後の消費者動向の変化に注目が集まっています。
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