■12月の誕生石、ラピスラズリとは?
ラピスラズリ(lapis lazuli)は12月の誕生石。
和名で”瑠璃(るり)”と呼ばれるラピスラズリは、不透明の青色系を呈する天然石で、主に半貴石の宝石として宝飾品に用いられます。
鉱物学的には”準長石(じゅんちょうせき)”の一種で、方ソーダ石グループに属するケイ酸塩鉱物の”ラズライト(lazurite)=青金石(せいきんせき)”を主成分に、同じ方ソーダ石グループの”ソーダライト(sodalite)=方ソーダ石(ほうそーだせき)”、”ノーズライト(noselite)=黝方石(ゆうほうせき)”、”アウイナイト(hauynite)=藍方石(らんぽうせき)”など、化学組成が類似している鉱物が混晶(こんしょう)する固溶体で、瑠璃色・群青色・濃青色・紺碧色などのブルートーンを呈します。
主成分となる方ソーダ石グループの4種類の鉱物の他に、他の微量鉱物が入ることがあり、”カルサイト(calcite)=方解石(ほうかいせき)”によって白い筋や、”pyrite(パイライト)=黄鉄鉱(おうてっこう)”によって黄金の模様が入り、まるで星空や宇宙を眺めているような神秘的な文様が表れているものもあります。
※”半貴石(はんきせき)”とは、貴石以外の宝石のことで”セミ・プレシャス・ストーン(Semi Precious Stone)”とも呼ばれています。
■ラピスラズリの意味とは?名前の由来について
“ラピスラズリ(lapis lazuli)”の名前は”青色の石”の意味で、”石”を意味するラテン語”lapis”と、”青”を意味するラテン語の”lazuli”に由来します。
“ラズリ(lazuli)”の語源は、青系統の色名”アズール(azul)”と語源が同じで、かつてラピスラズリを産出していた地域でペルシャの古い地名の”lajevard”に由来します。
古代ペルシャの地名の”lajevard”は、”青・空・天”を意味するペルシャ語”lazhward”が派生し、アラビア語で”lazward”、中世ラテン語で”lazulum”、その属格形で”lazuli”に変化したものと言われています。
■和名の瑠璃(るり)について
和名の”瑠璃(るり)”は、ラピスラズリを意味するサンスクリット語の”vaiḍūrya(バイドゥーリヤ)”またはパーリ語の”veḷuriya(ヴェルーリヤ)”の音写・音訳の”吠瑠璃(べいるり)”の略称です。
日本の色名の”瑠璃色(るりいろ)”は、ラピスラズリの色の意味で、JIS慣用色名では”濃い紫みの青”と定義されています。
古代よりラピスラズリを粉砕したものは天然の青色顔料=ウルトラマリンの顔料として用いられてきた歴史がありますが、厳密にはラピスラズリの粉末の色は、色名で”ウルトラマリンブルー=群青色”と定義される色とは異なる色になります。
ラピスラズリに限らず、天然石の色合いは一定ではないため、色相・彩度・明度が定義されている色名で色を表現するのは非常に困難です。
■ラピスラズリの歴史
世界最高級のラピスラズリを産出することで知られる「サリ・サング鉱山(Sar-i Sang minesまたはSar-e-Sang mines)」を含む、バダフシャーン(現在のアフガニスタン北東部とタジキスタン南西部にかけての一帯)の地域では、紀元前4千年紀には既にラピスラズリが採掘されていたと言われています。
装飾品として珍重されていたラピスラズリは、古代メソポタミア期にはバダフシャーンから地中海世界にまで運ばれており、その裏付けとなる出土品が各地で発掘されており、これはシルクロードを凌ぐ人類史上最古の長距離貿易の証拠になるとも考えられています。
紀元前3千年紀のシュメール人の古代都市ウルの遺跡からもラピスラズリがあしらわれた副葬品が多数出土しています。
古代メソポタミア・紀元前1800年頃に書かれたとされる、世界最古の文学作品「ギルガメッシュ叙事詩」にもラピスラズリが登場します。
世界で最も広く知られている古代の芸術作品の一つと称される、紀元前1300年頃の古代エジプトの王、ツタンカーメン王の黄金マスクの眉・眼の周囲・顎ひげにもラピスラズリが使われています。
「絶世の美女」として知られるクレオパトラは、ラピスラズリの粉末をアイシャドウとして使用していたことは有名な逸話です。
ラピスラズリは人類が初めて鉱物として認知・利用した最古の鉱物とされていて、紀元前より宝石として装飾品・工芸品にとどまらず、宗教的な儀式を行うための道具としてや、天然の青色顔料(ウルトラマリンの原料)として画材や化粧品の材料として珍重されてきた歴史があります。
日本でも仏教においては、極楽浄土を飾るとされる「七宝」のひとつとして取り扱われています。
ラピスラズリの美しい青色には、魔除けのパワーがあるとされ、古代エジプトや古代バビロニアでは、ラピスラズリを粉砕して作った粉を顔料として用いて壁画を描き、護符にしていたと伝えられています。
■ラピスラズリの石言葉・宝石言葉
ラピスラズリの石言葉・宝石言葉は、真実-幸運-克服-浄化-知性。
ラピスラズリは色相と模様から、天の青と太陽の黄金の輝きを兼ね備えていると考えられ、古いユダヤ教の伝統では「成功」の象徴とされてきました。
また、ラピスラズリは世界で最初に「パワーストーン」として認識された宝石でもあり、古来よりラピスラズリを身に着けると、不運から身を守り、幸運が訪れると信じられて、聖なる石として世界中の人々に愛されてきました。
様々なパワーを持つとされるラピスラズリですが、その中には「ラピスの試練」とも呼ばれているパワーがあり、身に着けている人に試練を引き寄せますが、その試練を乗り越える力を与えてくれるといわれていて、「ラピスの試練」が身に着けている人の精神を磨き、魂のレベルを高めつサポートをしてくれるといわれています。
石言葉・宝石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉・宝石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
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