宝石名 | アレキサンドライト |
英名 | Alexandrite |
和名 | 金緑石(きんりょくせき) |
鉱物名 | クリソベリル(chrysoberyl)、金緑石(きんりょくせき) |
分類 | 酸化鉱物 |
化学組成 | ベリリウムとアルミニウムの酸化鉱物 |
化学式 | Al2BeO4 または BeAl2O4 |
結晶系 | 直方晶系(斜方晶系) |
モース硬度 | 8.5 |
靭性 | 高 |
劈開性 | 不明瞭 |
比重 | 3.7-3.8 |
屈折率 | 1.74-1.77 |
分散度 | 0.015 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | グリーンブルー、ダークグリーン⇔レッド、バイオレット |
誕生石 | 6月の誕生石 |
石言葉 | 高貴-情熱-秘めた想い |
■6月の誕生石、アレキサンドライトとは?
アレキサンドライトは6月の誕生石です。
アレキサンドライトは鉱物「クリソベリル(chrysoberyl )=金緑石(きんりょくせき)」の一種で、化学組成はベリリウムとアルミニウムの酸化鉱物で、化学式は Al2BeO4 または BeAl2O4 で、結晶系は直方晶系(斜方晶系)、モース硬度8.5の貴石・宝石です。
酸化クロム、酸化鉄、酸化バナジウムを微量に含有することに起因する光吸収特性によって変色効果(カラーチェンジ)を示すクリソベリルの変種です。
太陽光や蛍光灯の元では緑色から青緑色を呈しますが、白熱灯の元では紫色または茶色がかった赤色に色変化することから、「昼はエメラルド、夜はルビー」とも形容される、非常に珍しい希少な宝石です。
太陽光下のアレキサンドライトの色合いは、クロムにより緑色を呈するエメラルドとは緑色の色調が異なり、アレキサンドライトの青みを帯びた独特な緑色は、エメラルドとはまた異なる美しさがあります。
■アレキサンドライトは変色効果(カラーチェンジ)する宝石
アレキサンドライトが変色効果(カラーチェンジ)を示す理由は、微量に含有する酸化クロムが黄色系スペクトルを吸収し、石が反射する光に赤色要素と緑色要素の両方をバランスよく保持し、青みが強い太陽光・蛍光灯などの光源の元では青色系の色を、赤みが強い白熱灯などの光源の元では赤色系の色を反射するためです。
酸化クロムの含有率が高くなるほど、変色効果(カラーチェンジ)が大きくなります。
光源の変化に応じて変色効果(カラーチェンジ)のみられる宝石はアレキサンド以外にもありますが、アレキサンドライトの神秘的な色変化が印象的なことから、宝石にみられる変色効果(カラーチェンジ)を「アレキサンドライト効果」と呼ぶこともあります。
■アレキサンドライトの意味とは?名前の由来
「アレキサンドライト(Alexandrite)」の意味は、献名「Alexander II (第12代ロシア皇帝アレクサンドル2世)」+「-ite(鉱物を意味する接尾辞)」です。
1830年の春、当時12歳だったロマノフ朝第12代ロシア皇帝のアレクサンドル2世の成年式の日にアレキサンドライトがロシアのウラル山脈にあるタコワヤ川流域のエメラルド鉱山で発見され、アレクサンドル2世(Alexander II)の名前に因んで「アレキサンドライト(Alexandrite)」と命名されました。
また、「鉱物」や「化石」を意味する接尾辞の「-ite」や「-lite」は、「石」の意味を持つギリシャ語「lithos」が語源となっています。
■鉱物名・宝石名の命名ルール
新種の鉱物は、鉱物学の発展と約5,000種の鉱物名の統一を目的とする国際組織である「国際鉱物学連合(IMA: International Mineralogical Association)」の「新鉱物・鉱物名委員会 (CNMNC: Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)」において審査を受け、その承認を得る必要があります。
新しい化学組成・結晶構造を持つ鉱物を発見した場合は、その地質作用や科学的根拠を明記した申請書を委員会へ提出します。
申請の際に鉱物の名前(学名)も自ら提案できますが、発見者の名前をつけてはいけないというルールや、一部の鉱物グループには命名規約が存在することもあります。
多くの場合は、地名・献名・特徴的な外観・化学組成などに由来するものが多く、名前の最後に「-ite」や「-lite」を付けます。
委員会は提出された申請書に基づいて鉱物と鉱物名・命名理由を数ヶ月かけて審査され、承認されると新鉱物が誕生します。
■アレキサンドライトの産地
アレキサンドライトの産出国はロシアのウラル山脈、ブラジル、スリランカ、ジンバブエ、タンザニア、マダガスカル、インド等と数えるほどです。
アレキサンドライトが初めて発見されたロシアのウラル山脈をはじめ、ブラジル、スリランカも資源が枯渇したと言われており、現在アレキサンドライトを安定的に供給している主な産出国はブラジル、タンザニア、インドのみです。
高品質のアレキサンドライトを産出していたウラル山脈産のアレクサンドライトは今では幻の宝石となっています。
■アレキサンドライトの希少性
アレキサンドライトは供給量が極めて少ない希少な宝石であるが故、非常に人気の高い宝石で、世界で最も高価な宝石の1つに数えられます。
アレキサンドライトは結晶の多くにインクルージョンやクラックがみられるため、透明度の高い上質のものはごく稀で、サイズが大きく、変色効果(カラーチェンジ)の大きい、美しいカラーの高品質なルースは滅多に市場には出回りません。
5カラット以上の大きさの上質なルースともなると非常に高価です。
そのため、一般的な市場で最も多く流通しているのは、1カラット未満のサイズでミックスカットが施されたルースです。
アレキサンドライトにミックスカットが施される理由は、希少性が高いことから可能な限り重量を保持することを目的とするためです。
■合成アレキサンドライトのメリット
アレキサンドライトの宝石では、化学特性・物理特性・光学特性・結晶構造が天然アレキサンドライトと殆ど同じ、人工石の合成アレキサンドライトも流通しています。
合成アレキサンドライトとは、天然アレキサンドライトでは非常に稀少とされる最高品質の天然アレキサンドライトが再現されている人工宝石です。
合成アレキサンドライトは高品質なアレキサンドライトと同様に、高い透明感(インクルージョンが少ない)と、彩度の高い美しい色調、はっきりとした変色効果を楽しむことができるうえ、天然アレキサンドライトと比べて価格が安価なことから、その存在価値が認められている需要の高い合成宝石です。
天然のアレキサンドライトはピアス用やイヤリング用にサイズや形状、色、変色効果を揃えてルースをペアにマッチングさせることは非常に困難ですが、合成宝石のアレキサンドライトの場合はルースをペアにマッチングさせることが可能です。
※弊社オンラインショップにても、チョクラルスキー法(結晶引上げ法)により生成された合成アレキサンドライトのルースを取り扱っております。
合成宝石は天然宝石と比べて手頃な価格で入手できるとあって、合理主義な価値観を持つ欧米では以前から人気のある宝石です。
合成宝石は工場で生成されていることから、宝石採掘による自然破壊や環境汚染などの環境問題、労働者の健康被害や強制労働などの人権問題などといった、鉱山の抱える様々な問題に加担してしまうも心配のない、ギルトフリーでクリーンな宝石です。
次世代のために供給の持続が可能な素材のため、SDGsの取り組みに積極的なエシカルジュエリーのブランドから、サスティナブルな素材として支持されています。
合成宝石は、地球にも・人にも・お財布にも優しい、次世代の宝石として、「Z世代」や「ミレニアル世代」などの若者世代を中心とした新しい価値観を持つ消費者から支持される動きが急速に広まり、その存在価値を一気に高めています。
■合成宝石の歴史について
合成宝石は、1902年にフランスの化学者「オーギュスト・ヴィクトル・ルイ・ベルヌーイ」が「ベルヌーイ法(火炎溶融法)」と呼ばれる合成方法を開発したことにより、史上初めて商業的に生産されるようになりました。
ベルヌーイ法による合成コランダムは本物に見えないほど美しく、また生産コストが非常に安価であったことが災いして、宝石用途としての人気が高まることはありませんでしたが、精密機器やエレクトロニクス等の分野においての需要が高いため、年間生産量2万トン程が産業用途に生産されていると言われています。
現在もベルヌーイ法は合成コランダムや合成スピネルの合成法における主要な製造法の位置を保ち続けています。
1957年にはアメリカの研究所「ベル研究所」が「水熱合成法」と呼ばれる合成方法を、1958年にはアメリカの化学者「キャロル・チャザム」が「フラックス法(融剤法)」と呼ばれる合成方法を開発しました。
しかしながら、ベルヌーイ法では200カラットの結晶の合成に要する時間は3時間程ですが、フラックス法ではベルヌーイ法の20~100倍もの時間が掛かるうえ、大量のインクルージョンやクラックを含みます。
時間と手間がかかり、生産性の低いフラックス合成法による合成コランダムは、商業的に採算が採れないビジネスではありますが、色合いと適度の不透明さが天然の最上のコランダムと酷似した特徴を示すため、高級な宝飾品用途での需要があります。
1917年にはポーランドの化学者「ジャン・チョクラルスキー」が「チョクラルスキー法(引き上げ法)」と呼ばれる合成方法を開発しました。
チョクラルスキー法による合成ルビーは極めて純度の高い、欠陥の少ない単結晶が得られることから、ベルヌーイ法による結晶よりも、より高品質な結晶が必要とされる半導体産業において多く利用されています。
日本企業ではキョーセラ社が宝飾用に合成宝石を生産販売しています。
■新しい誕生石に選ばれたアレキサンドライト
2021年12月20日に日本の誕生石が改訂されることになり、アレキサンドライトはパール(真珠)、ムーンストーンと共に6月の誕生石となりました。
日本の誕生石は1958年に全国宝石卸商協同組合によって制定されたもので、日本の誕生石が改訂されるのは実に63年振りのことになります。
ちなみに、新しく2月の誕生石に追加されたクリソベリル・キャッツアイは、アレキサンドライトと同じ鉱物です。
最新版の誕生石についての詳細はこちらのページをご覧ください。
■アレキサンドライトは結婚45周年「金緑婚式」の宝石
アレキサンドライトは結婚45周年の結婚記念日「金緑婚式(きんりょくこんしき)」の宝石です。
最近では節目の結婚記念日を大切に考え、お祝いをする夫婦が増えてきています。
結婚45年目の頃には子供が自立し、豊かな人生を謳歌できる生活を目指す夫婦が多くなってきていることでしょう。
婚約指輪や結婚指輪、10年目のスイートテンなどでダイヤモンドのジュエリーを既に数点所有している方も少なくありませんので、ダイヤモンドのジュエリーとの相性が良い、高貴な雰囲気を持つアレキサンドライトをあしらったジュエリーは、気品ある装いを華麗に演出されたい方に最適な贈り物になります。
■アレキサンドライトの石言葉・宝石言葉
アレキサンドライトの石言葉・宝石言葉は「高貴」「情熱」「秘めた想い」です。
石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
■合成アレキサンドライト関連商品のご案内
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