宝石名 | シトリン |
英名 | Citrine |
和名 | 黄水晶 (きすいしょう) |
鉱物名 | クォーツ |
分類 | 酸化鉱物 |
化学組成 | 二酸化珪素 |
化学式 | SiO2 |
結晶系 | 三方晶系、六方晶系 |
モース硬度 | 7 |
靭性 | 良好 |
劈開性 | 不明瞭 |
比重 | 2.6-2.7 |
屈折率 | 1.54-1.56 |
分散度 | 0.013 |
光沢 | ガラス光沢 |
色・カラー | レモンイエロー、イエロー、ゴールデンイエロー |
マンダリンオレンジ、マデイラレッド | |
シャンパン、コニャック | |
誕生石 | 11月の誕生石 |
結婚記念宝石 | 結婚5周年・木婚式 |
石言葉・宝石言葉 | 幸福-希望-富-成功-繁栄 |
■11月の誕生石、シトリンとは?
シトリンは11月の誕生石。
黄色系の色調の水晶(クリスタル)で和名は黄水晶(きすいしょう)。
モース硬度7の半貴石・準宝石です。
鉱物学的には石英(クォーツ)の一種で化学組成が二酸化珪素の鉱物。
※石英の中でもガラス光沢をもつ宝石質の結晶体が水晶(クリスタル)と呼ばれます。
シトリンは微量に含有する鉄に起因して、ごく淡いイエローからオレンジや赤に近い色味のものまで実に多彩な黄色を呈する水晶です。
地中深くに結晶した水晶やアメジスト(紫水晶)が、マグマなどの地熱よる熱干渉を受けたり、自然の放射線が加わわることにより黄色く色変化したものがシトリンです。
アメジストを約450℃に加熱するとシトリンの色合いに変化することから、現在市場に流通しているシトリンのほとんどがアメジストに加熱処理を施して黄色系に色変化させたものが殆どです。
天然の状態でシトリンのまま産出することは稀なため、未処理のシトリンは高級宝飾用としてや、コレクション用・観賞用に原石のままで取引されています。
■シトリンの名前の由来
シトリン(citrine)の名の語源はレモンを意味するフランス語のシトロン(citron)に由来します。
■シトリンの産地とカラーバリエーションについて
シトリンの現在の主要な産地はブラジルで、この他にボリビア、チリ、アフリカなどからも産出しています。
シトリンは産地によって実に多彩な黄色を呈する宝石で、ごく淡いライトイエローから黄金のような鮮やかなゴールデンイエローや、オレンジや赤に近いアンバーの様な色味のものまで様々です。
褐色味の無い彩度の高い黄金色の”ゴールデン・シトリン”や、マディラ・ワインのようなレディッシュブラウン(赤みを帯びた黄橙色~琥珀色)の”マディラ・シトリン”は特に人気が高く、珍重されています。
バイア・シトリン | 優しいライトイエロー |
シャンパン・シトリン | 落ち着いたシャンパンイエロー |
ゴールデン・シトリン | 褐色味の無い鮮やかな黄金色 |
マディラ・シトリン | 赤みを帯びた黄橙色~琥珀のようなレディッシュブラウン |
パルメイラ・シトリン | 熟成されたブランデーのような深いコニャックイエロー |
■シトリンとレモンクオーツの違いについて
シトリンと同じく黄色系を呈する水晶にレモンクォーツがあります。
シトリンもレモンクォーツも同じ黄色系の水晶ですが、シトリンは暖色系の黄色、シトリンは寒色系の黄色で、別の宝石として分別されています。
一般に流通するレモンクオーツの多くは、スモーキークォーツ(煙水晶)に加熱処理を施すことで寒色系の黄色に色変化させたものです。
水晶の中に微粒子の硫黄(サルファー)が入り込むことで黄色を呈する硫黄入り水晶(サルファーインクォーツまたはサルファークォーツ)もレモンクォーツの名で流通していることもあります。
■シトリンのカラーゾーニング
カラーゾーニング(色分布)とは主に結晶中にみられる色溜まりのことで、見方によっては色むらとも言えますが、一般的には斑(まだら)ではなく、色が一部に集中した帯状に見えるものが多いことからカラーバンド(色帯)とも呼ばれています。
カラーゾーニングはあまり目立たないものから、肉眼でもはっきりと見えるものまで様々です。
カラーゾーニングを特徴に持つ宝石には、シトリンやアメジストなど水晶のほかに、トルマリン、サファイアなどがあります。
カラーゾーニングが起こる要因としては、宝石の原石となる結晶が長い年月をかけて地中でゆっくりと成長していくことにあります。
宝石は金属の微量元素を不純物として結晶中に取り込むことで様々な色を呈しているのですが、結晶は成長スピードが大変遅いことから、長い年月をかけて結晶が形成される間に地中の環境が変化してしまうことが度々あり、地中の温度に変化が生じたり、取り込まれる微量元素の量や種類が変化してしまうために起こります。
■アメトリンとは?
宝飾用途で流通するバイカラータイプの水晶には、アメトリン、バイカラーシトリン、バイカラークォーツなどがあります。
アメトリン | シトリンとアメジストのバイカラー |
バイカラーシトリン | シトリンとロッククリスタルのバイカラー |
バイカラークォーツ | レモンクォーツとスモーキークォーツのバイカラー |
中でも人気の高いアメトリンとは、アメジストとシトリンによるカラーゾーニングがみられるバイカラーの水晶です。
アメジストとシトリンのカラーゾーニングが生じる要因は、同じ結晶内の鉄の酸化状態が異なることにあり、鉄の酸化状態の違いは温度差によるものと考えられています。
市場に流通する多くのアメトリンは部分的に加熱処理や照射処理を施すことでバイカラーに色変化させたものであることが多いようです。
アメトリンのような異なるカラーによりバイカラー(2色)やトリカラー(3色)となっている宝石は市場での需要がより高くなる傾向にありますので、色の変化している部分が一つの宝石の中に入るようにカットが施されます。
バイカラーやマルチカラーの宝石の場合は、カラーゾーニングがしっかりと確認できるものが高く評価されますので、色の違いがはっきりとわかるように、且つバランスよくカットされている一石を選ぶことをおすすめいたします。
■シトリンの石言葉・宝石言葉
シトリンの石言葉・宝石言葉は、幸福-希望-富-成功-繁栄。
石言葉・宝石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉・宝石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
■パワーストーンとしてのシトリンの意味
インドやスリランカをはじめとするアジア地域の国で神聖なものとして認識されているナヴァラトナ(navaratna)※と呼ばれるアミュレット(お守り・魔よけ・護符)においては、シトリンは木星(ブリハスパティ)を司る宝石とされています。
シトリンと同じく木星を司るとされる宝石にはイエローサファイアやトパーズがあります。
木星は地球から近く、大きな惑星であることから、太陽から受けた光を反射させて輝く惑星です。
木星は黄金色の輝きにより、闇による無知の愚かさを取り除き、光により知恵を授けるとされ、知性を支配する惑星とも伝えられています。
木星は発展を意味する惑星でもあり、繁栄や富と強いつながりを持つとも考えられてきました。
木星を司る宝石は太陽のパワーを吸収していると考えられており、太陽の光を浴びた時のように、ネガティブな気持ちになってしまった時にポジティブで明るい気持ちにして、活力と生きる希望を与えて幸運に導いてくれるとされています。
陽の光のような優しく温かな波動で人を緊張から解き放ち、魂を高揚させて前向き気持ちに導くことで、広い視野、寛大な心を与えてくれると信じられています。
木星を司る宝石は黄金を連想させる美しい輝きと色合いから、古くより金運や財運にまつわる運気を高めてくれるお守りとしてや、繁栄と富をもたらす幸運の石やパワーストーンとして大切にされてきました。
※ナヴァラトナとは、太陽系の9つの惑星とそれを神格化した9人の神の”ナヴァグラハ=九曜”が割り当てられた”9つの宝石(ナインストーン)”があしらわれた装身具のこと。
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