宝石名 | クンツァイト |
英名 | Kunzite |
和名 | リシア輝石(りしあきせき)、リチア輝石(りちあきせき) |
鉱物名 | スポジュメン(spodumene) |
分類 | 珪酸塩鉱物 |
化学組成 | リチウムとアルミニウムの珪酸塩鉱物 |
化学式 | LiAlSi2O6 |
結晶系 | 単斜晶系 |
モース硬度 | 6-7 |
靭性 | 低 |
劈開性 | 完全 |
比重 | 3.0-3.3 |
屈折率 | 1.65-1.70 |
分散度 | 0.015-0.017 |
光沢 | ガラス光沢 |
色 | ピンク、ラベンダー、ライラック、パープル |
誕生石 | 9月の誕生石 |
石言葉・宝石言葉 | 可憐-純粋-慈愛-無償の愛 |
■9月の誕生石、クンツァイトとは?
クンツァイト(kunzite)は9月の誕生石。
鉱物学的にはクンツァイトはリチウムとアルミニウムを含むペグマタイト鉱物の「スポジュメン(spodumene)」=「リシア輝石(りしあきせき)」の変種で、微量のマンガンの不純物に起因して、ピンク、ラベンダー、ライラック、パープルなどの色相を呈する宝石です。
色の濃いクンツァイトは「多色性(たしょくせい、たしきせい)」の特性を示すことがあります。
多色性とは、結晶の色が観察角度・偏光面・結晶軸などの関係によって異なる色に見える光学現象のことです。
クンツァイトと同じスポジュメンの宝石には、緑色系を呈する稀少石の宝石「ヒデナイト(hiddenite)」、黄色系を呈する宝石の「トリフェイン(triphane)」があります。
クンツァイトの結晶は比較的インクルージョンが少なく、産出する結晶のサイズも大きいため、美しく大きなサイズのルースが流通しています。
■クンツァイトの主な産地
主な産地はブラジル、マダガスカル、アフガニスタン、パキスタンなど。
■クンツァイトの意味とは?名前の由来について
「クンツァイト(kunzite)」の宝石名は、アメリカの鉱物学者のジョージ・フレデリック・クンツ博士(George Frederick Kunz)の名に因んで「Kunz」+鉱物を意味する接尾辞「-ite」と命名された名称です。
接尾辞の「-ite」や「-lite」は、「石」の意味を持つギリシャ語「lithos」が語源となっています。
■ジョージ・フレデリック・クンツ博士とは?
ブルーゾイサイトに「タンザナイト(Tanzanite)」の宝石名を命名したクンツ博士は、歴史に名を遺す非凡な鉱物学者・宝石鑑定士(ジェモロジスト)で、ピンクベリルを「モルガナイト(Morganaite)」と命名したことでも広く知られています。
幼い頃より鉱物収集に情熱を注いでいたクンツ博士は、1876年にニューヨークの宝石店「ティファニー」の創設者であるチャールズ・ルイス・ティファニー氏に類稀なトルマリンを売り渡しました。
このことがきっかけとなり、クンツ博士はティファニー社に迎えられます。
ティファニー社に加わったクンツ博士は、生涯にわたり世界中で稀少な宝石を探求することになり、世界最大の宝石のコレクションを築き上げていきました。
1902年頃、クンツ博士のもとにカリフォルニア州のサンディエゴ郡のパーラ近郊のホワイト・クイーン鉱山で採掘された、正体不明のピンク色の結晶が届けられ、後にこの結晶は鉱物スポジュメンであることが確認されましたが、過去に認識されていない色相であったため、これは新種の宝石の発見となりました。
1903年9月、この新種の宝石は「クンツァイト(kunzite)」と命名されました。
それは、アメリカの化学者で大学教授のチャールズ·バスカヴィル氏(Charles Baskerville)が、偉大なクンツ博士に敬意を表し、献名として命名した宝石名でした。
■鉱物名・宝石名の命名ルール
新種の鉱物は、鉱物学の発展と約5,000種の鉱物名の統一を目的とする国際組織である「国際鉱物学連合(IMA: International Mineralogical Association)」の「新鉱物・鉱物名委員会 (CNMNC: Commission on New Minerals, Nomenclature and Classification)」において審査を受け、その承認を得る必要があります。
新しい化学組成・結晶構造を持つ鉱物を発見した場合は、その地質作用や科学的根拠を明記した申請書を委員会へ提出します。
申請の際に鉱物の名前(学名)も自ら提案できますが、発見者の名前をつけてはいけないというルールや、一部の鉱物グループには命名規約が存在することもあります。
多くの場合は、地名・献名・特徴的な外観・化学組成などに由来するものが多く、「鉱物」や「化石」を意味する接尾辞の「-ite」や「-lite」を名前の最後に付けます。
委員会は提出された申請書に基づいて鉱物と鉱物名・命名理由を数ヶ月かけて審査され、承認されると新鉱物が誕生します。
■新しい誕生石に選ばれたクンツァイト
2021年12月20日に日本の誕生石が改訂されることになり、クンツァイトはサファイアと共に9月の誕生石となりました。
日本の誕生石は1958年に全国宝石卸商協同組合によって制定されたもので、日本の誕生石が改訂されるのは実に63年振りのことになります。
最新版の誕生石についての詳細はこちらのページをご覧ください。
■クンツァイトの石言葉・宝石言葉
クンツァイトの石言葉・宝石言葉は可憐-純粋-慈愛-無償の愛。
石言葉・宝石言葉とは、一つ一つの宝石に与えられた言葉のことで、各々の宝石の持つ特質や歴史・言い伝えなどから、象徴的な意味をもつ言葉が選ばれています。
石言葉・宝石言葉には、各々の宝石の持つ特質や色が与える心身への影響が研究された心理学が応用されていますので、自身が受ける心理的影響を生かしたセルフマネジメントや、他人に与える心理的影響を活かした印象戦略などに活用することができます。
■クンツァイトの取り扱いについて
クンツァイトはモース硬度が 6.5-7 とやや低く、劈開性が明瞭で靭性が低く脆いため、その取り扱いには注意が必要です。
クンツァイトは紫外線や熱に晒されると退色してしまう性質があるため、色褪せを防止するためにも光を透過しない箱等に収納するなどして暗所で保管されることをおすすめします。
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