水晶は4月の誕生石。宝石言葉は純粋・完璧・冷静・神秘。化学組成は二酸化珪素で、同一の化学組成と近似した物理的特性をもつ鉱物、石英(英名:クォーツ)の一種になり、石英の中でもガラス光沢をもつ無色透明の結晶体が水晶と呼ばれます。典型的な六方晶系の柱状か錐状の結晶のほか、双晶、皮殻状結晶の集合体など多様な形状で産出します。
水晶の英名のクリスタルの語源は、ギリシャ語で氷のように冷たいという意味の語のKryos(クリオス)に由来しています。クリスタルという言葉が人々の間に浸透していくにつれ、水晶以外の透明なものもクリスタルと呼ばれるようになったため、宝石名ではロック・クリスタル(Rock Crystal)と呼ばれるようになりました。
地球の誕生とともにできたと考えられている水晶は、古くから宝石として用いられてきた歴史があり、世界中の古い遺跡から発見されています。水晶は水源の近くの山岳地帯や河川の底などから発見されることが多く、透明度の高い結晶の見た目が氷に似ていたことから、世界中の多くの民族が水晶を氷の一種と考え、水晶のことを永久的に凍ったままの氷、氷の中心部が固くなったもの等と信じていたという文献が残されています。古代ローマにおいては暑い日に水晶を飾って涼を取っていたとも言われています。
仏教においては、玻璃(はり)と呼ばれて七宝の一つの宝石として珍重されてきた歴史があります。中国で生まれた水晶や水精の名が日本に伝えられ、江戸時代には水精と呼ばれていましたが、水晶の名で呼ばれるのが一般的になりました。
水晶は日本の国石に指定されており国内の各地で産出しますが、山梨県甲府市の金峰山麓をとりまく鉱山群に国内最大の水晶鉱山があり、明治~昭和にかけて盛んに水晶が採掘され、世界中に輸出されていました。
世界中で産出する水晶ですが、世界最大の水晶の産地はブラジルのミナス・ジェライス州です。ミナス・ジェライスでは人が入れる程の大型の晶洞が発見されることもあるそうです。水晶の結晶は多様な形状で産出するため、透明度の高い結晶や見事なクラスターはコレクターアイテムとしても大変人気があります。