ナヴァラトナとは?
ナヴァラトナとは、太陽系の9つの惑星とそれを神格化した9人の神であるナヴァグラハ=九曜が割り当てられた9つの宝石(ナインストーン)があしらわれた装身具で、インドやスリランカをはじめとするアジア地域の国で神聖なものとして認識されているアミュレットです。
「ナヴァラトナ(Navaratna)」とは、サンスクリット語で「9」を意味する「ナヴァ(nava)」と「宝石」を意味する「ラトナ(ratna)」からなる「9つの宝石」を意味する複合語です。
インドやスリランカでは古来より宝石を用いたセラピーやヒーリングといった宝石療法の文化があり、宝石には病気や怪我、三毒と呼ばれる三つの煩悩(ぼんのう)の貪欲(とんよく: 貪り・妬み)・瞋恚(にんし: 怒り・憎しみ)・愚癡(ぐち: 愚かさ・無知)などから保護する厄除けや加護の力や宿ると考えられてきました。
古代の王族が身につけていた宝石も、純粋な装飾用ではなく、身につける人の富や権力を高めるとされる宝石の力が信じられたためです。
ナヴァラトナの9つの宝石に秘められた意味の起源には「ヴェーダ(Veda)」と呼ばれる紀元前より伝わるインドの聖典が扱う「ナヴァグラハ(Navagrahas)」と呼ばれる9つの天体とそれらを神格化した「9人の天の神」にまつわる神話的な概念が結びついています。
ナヴァラトナの9つの宝石は太陽系の天体を表しており、9つのうち7つは実在する天体で、残りの2つは日食を引き起こす「影の惑星」とされていますが、いずれも物理的に実在する天体ではなく、月の昇交点と降交点を表しています。
ナヴァラトナの9つの宝石とは?
ナヴァラトナの9つの天体には各々に対応する9つの宝石「ナインストーン」が定められており、太陽はルビー、月はパール(真珠)、火星はインドではレッドコーラル(赤珊瑚)・スリランカではピンクサファイア、水星はエメラルド、木星はイエローサファイア、金星はダイヤモンド、土星はブルーサファイア、ラーフ(月の昇交点)はヘソナイトガーネット、ケートゥ(月の降交点)はクリソベリルキャッツアイとなっています。
宝石は高品質な未処理の天然石が望ましいとされ、加熱処理や照射処理が施された天然石や、合成された人工宝石は用いられません。
太陽系の中心である太陽を表す宝石のルビーを中心として、9石すべての配置が決められています。
ナヴァラトナは幸福・健康・心の平和・知性に関連するとされ、装身することにより夫々のナヴァグラハにつながると考えられ、天体を通して作用する前世の善悪の行為によって現世で受ける報いである「カルマ(karma)」の影響を調和させ、自身のオーラを高め、富・健康・精神的な強さ・知恵がもたらされると考えられています。
ナヴァラトナは指輪・ネックレス・ブレスレットなどの装身具として携帯されるのが一般的で、指輪が最も好ましいとされています。
世界のナヴァラトナについて
ナヴァラトナはインドやスリランカのほか、ネパール、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、タイ、カンボジア、シンガポールなど多くのアジア地域の国の文化に影響を与えており、この9つの宝石の組み合わせは、宗教や文化の違いに関係なく神聖なものとして認識されており、タイにおいては、ナヴァラトナは国王の象徴や王家のシンボルとして公式に認められています。
Navaratna シンハラ語、サンスクリット語、ヒンディー語、マラーティー語、カンナダ語、ネパール語、ベンガル語、ビルマ語、インドネシア語
Navaratnam タミル語→主にインド、スリランカ、マレーシア、シンガポールなど
Navaratnalu テルグ語→主にインド南東部など
Navaratnam マラヤーラム語→主に南インドなど
Nawaratna マレー語→主にマレーシア、シンガポール、ブルネイ、フィリピン、タイなど
Nawarat ビルマ語→主にミャンマー、タイ、ラオス、バングラデシュ、シンガポール、マレーシアなど
日本では「ナヴァラトナ(Navaratna)」「ナワラタナ(Nawaratna)」「ナワラット(Nawarat)」などの名称で知られています。
日本においては平安時代頃より星を尊崇する「星辰信仰(せいしんしんこう)」を介して初期メソポタミア文明が起源の西洋占星術とヴェーダを起源とするインド古来の月占星術が習合し独自に発展したインド占星術=ジョーティッシュ(Jyotish)が伝わり、「宿曜道(すくようどう)」や「陰陽道(おんみょうどう)」などで扱う「九曜(くよう)」としてナヴァグラハの概念が取り入れられ、家紋の「星紋」の図案としても用いられるようになりました。
9つの天体とその意味とは?
1. 太陽 ・スーリヤ
太陽を表す宝石はルビーです。
ルビーに代用する宝石としてガーネット、レッドスピネルを選ぶこともできます。
ナヴァラトナにおいて太陽が太陽系の中心であることから、太陽はすべての生命とエネルギーの源であり、最も人生を左右する天体と位置付けられており、太陽は魂の象徴とされています。
太陽を司る宝石は太陽のポジティブなパワーを吸収し、身につける人の潜在能力を最大限に発揮できるようサポートしてくれると考えられており、情熱・活力・行動力を高めると信じられています。
2. 月・チャンドラ
月を表す宝石はパール(真珠)です。
パールに代用する宝石としてムーンストーンを選ぶこともできます。
ナヴァラトナにおいて月は精神の象徴であり、心や精神を司る天体と位置付けられている月からの弊害を克服するために用いられます。
月を司る宝石は身に着けることで、精神的・感情的なバランスの安定性を高めることができると考えられています。
3. 火星・マンガラ
火星を表す宝石はインドではレッドコーラル(赤珊瑚)、スリランカではピンクサファイアです。
代用する宝石としてレッドジャスパー、カーネリアンを選ぶこともできます。
インドの古い文献では、火星は母なる惑星である地球の息子と位置付けられているほか、火星は地球が広大な海に沈んでいた時代に地球を適切な軌道に乗せる役割を担った惑星であると伝えられており、火星はエネルギーやパワーに関連する男性的な性質を持つ惑星と位置付けられています。
ナヴァラトナにおいて火星を司る宝石は身につける人に目標を達成するためのサポートしてくれると考えられており、行動力や決断力といったリーダシップを授けてくれると信じられています。
4. 水星・ブダ
水星を表す宝石はエメラルドです。
エメラルドに代用する宝石として翡翠、ペリドットを選ぶこともできます。
水星は公転速度が非常に速い惑星であることから、各天体とのメッセンジャーであり、知性とコミュニケーション能力を司る惑星と位置付けられています。
ナヴァラトナにおいて水星を司る宝石は身につける人に言葉を授け、他者に自分を伝えるための強いスピーチ力を与えてくれると考えられており、知的で独創的な思考を高め、シャープで機知に富む即妙な会話をサポートしてくれると信じられています。
5. 木星・ブリハスパティ
木星を表す宝石はイエローサファイアです。
イエローサファイアに代用する宝石としてシトリン、イエロートパーズを選ぶこともできます。
木星は地球から近く、大きな惑星であることから、太陽から受けた光を反射させて輝く惑星です。
木星は黄金色の輝きにより、闇による無知の愚かさを取り除き、光により知恵を授けるとされ、知性を支配する惑星とされています。
木星は発展を意味する惑星でもあり、繁栄や富と強いつながりを持つとも考えられてきました。
ナヴァラトナにおいて木星を司る宝石は魂を高揚させて前向き気持ちに導くことで、広い視野、寛大な心を与えてくれると信じられています。
6. 金星・シュクラ
金星を表す宝石はダイヤモンドです。
ダイヤモンドに代用する宝石としてホワイトジルコン、ホワイトサファイア、ホワイトトパーズを選ぶこともできます。
金星は太陽と月に次いで明るく見える惑星で、明けの明星や宵の明星として、明け方と夕方にひときわ美しく輝きます。
金星は美・愛・結婚を司る女性的な性質を持つ惑星と位置付けられています。
ナヴァラトナにおいて金星を司る宝石は身につける人に、人生の目的や自分らしい生き方の導き手となると信じられています。
金星を司る宝石は社交的で魅力的な人格を授け、結婚やビジネスパートナーシップにおいて良好な関係を築くことをサポートしてくれると考えられています。
7. 土星・シャニ
土星を表す宝石はブルーサファイアです。
ブルーサファイアに代用する宝石としてタンザナイト、アイオライト、ラピスラズリを選ぶこともできます。
土星は太陽を周回する速度が非常に遅い惑星であることから、「保つ」という意味のサンスクリット語の「ダー(dhṛ)」の派生語とされる、秩序と理法を意味するインドの思想の「ダルマ(dharma)」を象徴する惑星と位置付けられています。
ナヴァラトナにおいて土星を司る宝石は身につける人に、現世に持ち込んだカルマを受け入れることを促し、カルマに打ち勝つをサポートしてくれると信じられており、試練を与えて精神的な道を歩むように導くことで、寛容さと謙虚さを得るために役立つと考えられています。
土星は長寿を象徴する惑星でもあります。
8. 月の昇交点・ラーフ
ラーフを表す宝石はヘソナイトガーネットです。
ヘソナイトガーネットに代用する宝石としてブラウンジルコン、スペサルティンガーネットを選ぶこともできます。
「ラーフ(Rahu)」とは月の昇交点のことで和名では「羅睺(らごう)」、天文学的には「アセンディングノード(ascending node)」や「ノースノード(north node)」と言い、西洋占星術においては「ドラゴンヘッド(dragon’s head)」と呼ばれています。
月の昇交点は黄道に対して昇っていく月と太陽の軌道が交わる交点(こうてん)のことを意味し、ラーフとケートゥは天球上で互いに反対の位置にあり、ラーフは黄道を南から北に通過します。
ラーフとケートゥは「影の惑星」として惑星の地位が割り当てられていますが、いずれも物理的に実在する惑星ではありません。
ナヴァラトナにおいてラーフはケートゥと共に太陽に対する敵であり、太陽がいずれかの影の惑星に覆われることで、日食が引き起こされていると考えられ、太陽からのポジティブなパワーを遮るマレフィック(凶星)と位置付けられていますが、他の惑星の影響を強く受けることによりベネフィック(吉星)として作用すると考えられています。
ラーフはヴェーダにおいて万物の性質を表す「グナ」のうち、慣性を表す「タマス(Tamas)」による不安・混乱・無知・不活発・怠慢に関連すると言われています。
ナヴァラトナにおいてラーフを司る宝石は、身につける人のタマスによる負のエネルギーを中和し、不安・混乱などの精神的困難から解放されるために役立つと考えられています。
9. 月の降交点・ケートゥ
ケートゥを表す宝石はクリソベリルキャッツアイです。
クリソベリルキャッツアイに代用する宝石としてタイガーアイを選ぶこともできます。
「ケートゥ(Ketu)」とは月の降交点のことで和名では「計都(けいと)」、天文学的には「ディセンディングノード(descending node)」や「サウスノード(south node)」と言い、西洋占星術においては「ドラゴンテール(dragon’s tail)」と呼ばれます。
月の降交点とは黄道に対して沈んでいく月と太陽の軌道が交わる交点のことを意味し、ケートゥは黄道を北から南に通過します。
ケトゥは精神・知恵に関連する惑星であり、煩悩(ぼんのう)からの解脱(げだつ)のプロセスを表しており、物質世界的には災いをもたらすマレフィック(凶星)ですが、精神世界的には吉祥をもたらすベネフィック(吉星)と位置付けられています。
ナヴァラトナにおいてケートゥを司る宝石は、身につける人に世俗的な欲望からの分離をもたらし、精神的な目覚めを促し、鋭い直感力や創造的な思考を高め、サイキック能力やヒーリングの技術の習得などにも役立つと考えられています。
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